前回、「意外とできていない!?ホウレンソウの基礎知識」という内容で、報告・連絡・相談(報連相:ホウレンソウ)の基本について触れましたので、いかに報・連・相が重要な役割を担っているのかはイメージできたかと思います。
今回は、重要なコトであるにもかかわらず、『なぜ 報連相が定着しない のか?』について考えてみたいと思います。
理由その1 「良い報告」しか聞きたくない上司、自力で解決したい部下
上司の方の日頃の振る舞いによって、部下の方は空気を読んで行動することは多々あります。ですから「悪い報告」はできるだけしたくないというのが本当のところだと思います。
ぶっちゃけ上司の立場としても、「悪い報告」は、その後の対応が発生し、面倒なので「聞きたくない」というのが本音ですが、本当は、それをやるからこそ上司なんですけどね。
出来ない上司と呼ばれる方は、こういうときに部下に説教するだけして、具体的な指示を出さなかったり、対応を部下に丸投げして”我関せず”状態になるようです。
そんな職場環境では、「悪い報告」の隠ぺいや知らないフリなどに繋がり、後々大問題になる可能性が高いので注意が必要です。
・「悪い報告」=「弱音、諦め」ととらえ、「弱音を吐かずに、自力で何とかしろ!」という類の言葉が返ってくる。
⇒ これでは「報告」という行為をするだけムダになりますので、次第に報告しないようになります。
・「悪い報告」をしてきた部下に対し、「なんでこんなことになったんだ!」と他の社員がいる前で怒鳴り散らす。
⇒ これでは、「悪い報告」をしても他の社員の前でツライ思いをするだけですので、隠ぺいや、知らないフリ、報告するタイミングを測るようになるため、報告が遅くなる・・などに繋がります。
・トラブルを自力で解決しようとする。
⇒ 部下の立場の人に多いことですが、そもそも隠ぺいや知らないフリをする気は全くないのですが、トラブルをある程度自力で解決しようとする傾向があります。その結果として報告が遅れるということがあります。
悪い報告は受けたくないですし、報告したくないと誰もが思っています。
しかし、それを現実に受け止めて対処するのが上司の仕事であり、分かった時点で報告するのが部下の仕事です。
上司の立場の方は、「悪い報告」をした部下を問題視するのではなく、まず、「悪い結果を報告した」行為を褒め、それから悪い結果に対する対処法を指示するのも大切な上司の役割なのではないでしょうか?
理由その2 報連相は「部下がするもの」という思い込み
報・連・相は、部下から上司へという流れだと思い込んでいませんか?基本的には、仕事を任されている部下がその経過や結果を報告するので、部下から上司へ行うものではあるのですが、それが難しい職場環境になっている場合もあります。
例えば、上司がとても多忙でいるため、報・連・相をするタイミングが分からかったり、悪い報告なので、なかなか言い出せなかったりと、理由は様々です。
しかし、理由はなんであれ部下から状況を報告されなければ仕事が進まないということも多々あると思います。
それをただ受け身で待っているのにも関わらず、やっと報告してきた部下に「なんでもっと早く報告しないんだ!」なんて注意をするのはどうかと思いませんか?
報・連・相は、いわば部下とのコミュニケーションの延長です。報・連・相ができない部下がいるということは、言いかえればその部下とコミュニケーションが取れていないということでもあります。
そのコミュニケーションを部下からのアクションをただ待っているだけというのは、上司としてちょっとまずいですよね。
日頃から世間話を交えながらコミュニケーションをとること。
そしてその一環として仕事の進捗状況や今悩んでいることや、つまづいていることを聞きだすということを行い、コミュニケーションを取りやすい職場環境をつくるということを意識してみるのも大切なことです。
理由その3 報連相の意識レベルが合っていない
報・連・相の基本は、「都度行う」というものですが、ことあるごとに報・連・相を行っていたらキリがありません。ですので、実際には各個人が報告するタイミングや報告する問題などを判断して行っているかと思います。
しかし、報・連・相の意識レベルが上司と部下との間であっていない場合、部下はどうしたらよいのかわからず戸惑いを覚えることになります。
・「10日後までにこの書類を作成しておいて。」という指示に対して、
部下 : 毎日その進捗状況をしたいと思っている。
上司 : 5日後に中間報告を聞いて、8日か9日後に最終見通しを聞ければよいと思っている。
・あるトラブルを報告した際に、上司に「そんなこといちいち報告するな」と言われる。
・相談すると「そのくらいは自分で考えろ」と言われ、自分で考えてコトを進めると「何で勝手に進めてるの」と言われ、どうしたらよいのかわかならなくなる。
これらは、報・連・相の意識レベルがあっていないために起こる、”報連相できない職場あるある”です。
こういった問題は、指示を出す際に”4W1Hにそって報・連・相するように指示を出す”ことで解決できます。
When | いつ、どのタイミングで報告するのか (3日後の15時に中間報告し、7日後の13時に見通しの報告する。 など) |
Who | 誰に報告するのか (上司の○○部長に、○○部のAさんに、先輩社員のBさんに。 など) |
Where | どこで (会議室で、ミーティング時に、打合せスペースで。 など) |
What | 内容 (悪い結果を先に報告してから、その他の結果を報告して。など) |
How | 手段 (口頭報告なのか、報告書を作成するのか、メールで報告するのか。 など) |
以上が報・連・相が定着しない3つの理由です。
一言で総括すると、報・連・相を定着させるためには、『上司が部下に対してもっと親切にならなければならない』ということですね。
誤解しないで欲しいのですが、上司が悪いから定着しないと言っているのではなく、上司が動いて部下が働きやすい環境をつくることが大切ということです。
部下を委縮させる上司より、部下の能力を最大限に引出せる上司の方が業績に貢献するでしょうし、優秀な管理者であると私は思いますし、その方が愉しく働ける職場を作ることにもなります。
報・連・相が定着していないと感じているのでしたら、部下の方の努力も必要ですが、まずは上司が動くことから始めてみてはいかがでしょうか。
今回は以上です。
面白いと思ったら、ぜひ実践してみてください。
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