たられば思考 というのは、「もし、〇〇になったら…」とか「あのとき、〇〇していれば…」というように、まだ起きていないことに対する不安を思い描いたり、すでに起きた事象に対して、自分の都合の良い解釈で捉え、言い訳や負け惜しみを、真っ先に考えてしまうことです。
周囲の人が何かあるたびに、「〇〇だったら」「〇〇していれば」を繰り返す人がいると、もしあなたが、そういう思考をしないタイプであれば、正直、”うざい”と感じてしまうかもしれません。
そして、つい、”たられば思考”になってしまう人は、”うざい”と思われるのが嫌ですし、ネガティブ思考になったり、負け惜しみや言い訳が多くなってしまうので、できれば、”たられば思考”をやめたいと考えているかもしれません。
世間一般的にも、「タラレバは良くないモノ」と捉えられていることが多いですが、実は、視点を変えれば、「結構役立つモノ」に変わります。
今回は、その方法について紹介します。
たらればを言うのはダサい?
→ いいえ。むしろもっと多くいうべきだった!
たられば とは、「もし、〇〇になっ”たら”…」とか「あのとき、〇〇してい”れば”…」のお尻の「たら」と「れば」をとったものです。
一般的には”無駄なもの”扱いされており、「たられば」を言う人=うざい人としてくくられるので、「たられば思考」になりがちは人は、「たらればをやめたい」とか「たらればを言わないようにする」ということを考えている人が多いです。
じつは私も学生時代の”スポーツ選手”だった頃は、“たられば”をなるべく、意識して言わないようにしていました。
なぜなら、”たらればを言う”ってことは、望んでいない結果(勝てなかった)という事実を素直に受け入れないということであり、”負け惜しみ感”が強く出てしまうので、タラレバを言う=ダサいと思っていたし、出てしまった結果を受け入れないと成長できないと思っていたからです。
ですが、実は「たらればを言わない」ということが、” 望んだ結果から遠ざけることにもなっていた ”ということに、大人になってから気付きました。
どういうことかというと、「言い訳や負け惜しみ」でもある”たられば”というものが、実は、望んでいた結果を手に入れるのに、役立つものでもあったからです。
” たられば ”は成功するための仮説
「言い訳」や「負け惜しみ」がどう役立つのか?というと、“タラレバ”というのは「言い訳」や「負け惜しみ」であると同時に、視点を変えれば、じつは、反省点でもあり、改善案にもなるからです。
キーワードは、「そうなるには、何をしたらよかった?」です。場合によっては、「それを防ぐには、何をすればいい?」がキーワードになることもあります。
例えば、「もしもっとお客さんを集めることができていたら、売上目標を達成できたのに・・・」というタラレバだったら、そのタラレバに対して、「では、そうなる(もっとお客さんを集める)ためは、何をしたらよかったのか?」ということを質問することで、その答えが、改善すべき課題となりますよね?
多くの場合、「タラレバ」は“言い訳”扱いされるため、まともに取り合ってもらえずに、切り捨てられてお終いです。
ですから、会議の場でタラレバを言えば、上司の人から「言い訳するな」と叱られ、最終的に「次はもっとがんばるように!」と言うような感じで、具体的な改善案や課題が出ずに会議が終わるというケースが多いです。
スポーツ選手だった頃の私も、満足のいかない結果にたいしてタラレバをいっていても仕方ないので、「次はそうならないように頑張る!」というような曖昧な反省で終わってしまい、「では、具体的に何を頑張れば良いのか?」ということがわからないままなので、また、満足のいかない結果になるということを繰り返していました。
もちろん、その間、自分なりに考え、努力したつもりですが、「具体的に何をすれば良いのか?」が不明瞭で、努力することがズレていたため、残念ながら、満足のいく結果を得ることができないまま、引退しました。(これも、結果的には、タラレバですね。「あのとき、このことがわかっていたら、もっといい結果を出すことができたはずなのに」…って(苦笑))
ですから、「タラレバ」を考えないようにするというのは、一見、いいことのように思いますが、それって、反省の機会や振り返りを行い、改善案を考える“きっかけ”をなくすことにもなるとも言えます。
もちろん、”たられば”を言わなくても、それができる人はたくさんいますが、あえて、たらればを言った方が、思いも寄らない”いい案”が出ることもあるので、お勧めです。
ただし、” たられば ”を言うだけでは意味がありません!
”たられば”は役に立つのは、それを改善案につなげた時です。ですから、「”たられば”を言ってスッキリしてお終い」では無意味ですし、将来に対する不安の” たられば “「もし、〇〇になったらどうする?」を繰り返しいうだけだと、周囲の人からうざがられるだけです。
ですから、「” たられば “は、言った方がいい。ただし、改善案にまでつなげないのなら、言うな」って感じです。
大事なのは、「反省」とか「不安」を改善につなげることです。「何がダメだったのか?」ではなく、「どうしたら良かったのか?」という、“改善案”を出す。
タラレバは、その改善案をだす“切り口”とか“ヒント”になります。
心理学上でも” たられば思考 “は役に立つと伝えている!?
動画の中では、過去に起きた事象に対する後悔や不都合な事実とは違う結果を想像することを、”たられば”として紹介しましたが、過去だけでなく、将来に対する不安からくる「もし、〇〇になったらどうしよう…」というのも” たられば “です。
じつはこういう” たられば思考 “を、心理学的には「反実思考」といいます。
反実思考とは文字通り、事実と反する状況を考える思考(法?)のことで、「もし〇〇だったら、うまくいったはずだ!」というように、多くの場合、過去の事象の失敗に対しての、言い訳や負け惜しみだったりします。
ですが、この反実思考というのは、心理学的にも「将来の行為に対する因果情報を与える」という”役に立つ機能”があると言われています。
簡単にいうと、「今回は〇〇をしなかったから失敗した。だから次は、〇〇をすれば成功するはずだ!」というような、自ら学んだ過去の教訓を、未来の自分に活かすことができて、初めて役に立つというものです。
これ、すでにお伝えしたことと同じですよね?
ですから、もし、あなたの近くに” たられば思考 ”の方がいたら、それを” うざい ”と切り捨てるのではなく、「では、そうなるには、何をしたらいいと思う?」と質問し、” たられば “を役に立つものに変えてみてください。
「面白い!」と思ったら、是非実践してみてください。今回は以上です。
P.S.
「” たられば ”は役に立つ」なんて言うと、一見、非常識なことを言っているように思うかもしれませんが、心理学の分野でも研究されている(といっていいのかな?)と言われると、急に信憑性が高くなりますよね(笑)