ダイハツミライースという”キリの悪い車”をご存知ですか?
深田恭子さんが登場する、あのTVCMで紹介している軽自動車です。
”キリの悪さ”というのは、ハンドリングのような車の運転性能のことではなく、自動車の販売価格のことです。TVCMでは、766,286円と紹介しています。
う~ん、なんともキリが悪い金額です・・・(苦笑)
ですが、ダイハツはこのキリの悪さを逆手にとって、見込み客の好感度を上げる戦略に打って出ています。
通常、キリの悪い金額は消費者にイヤな顔をされるものです。せっかくなので、ちょっとイメージしてみてください。
- もし、スマホのパケット定額が6,872円だったら?
- もし、定食屋のランチが、487円だったら?
- もし、足つぼマッサージが、1,889円だったら?
- もし、ヘアサロンのカット料金が、7,217円だったら?
思わず「ちょっと、端数の金額何とかならないの?」と思いませんか?
ですが、ダイハツミライースのCMでは、「あるキーワード」によって、この”キリの悪い金額”のイメージを180度変え、さらに企業イメージの向上にもつなげています。
そのキーワードは何か?それは、CMをご覧ください。
※追記 公式チャンネルでの動画が削除されてしまいました。
どのキーワードか気づきましたか?
それは、
「このキリの悪さに努力を感じちゃいます」
という一言です。
このキーワードによって、見ている人が勝手にいろんなことを想像し、勝手に好感度を上げてくれているのです。
では、視聴者はどんなことを想像しているのか?
あくまでも参考ですが、きっとこんなことを想像しています。
「ダイハツは、お客さまにもっと悦んでもらえるようにと、さまざまな企業努力によって製造コストを下げ、さらに、販売価格も「1円単位」でギリギリまで下げた結果、キリの悪い金額になってしまったものの、お客さまの為を思い、そのまま販売価格にするような、好感を持てる企業だ」
おそらく、具体的にこんなことを思う方はほとんどいないでしょうが(苦笑)、ざっくりとこのようなことをイメージされているのではないでしょうか?
この例で注目なのは、ダイハツは、価格について「何も言っていない」ということです。
「僕たちが頑張った結果、この金額になりました!」
と自分で言っていないにもかかわらず、視聴者に、そのようなイメージを持たせることに成功しているのです。
そのトリガーキーワードになっているのが、「このキリの悪さに努力を感じちゃいます」という一言です。
CMで話している事実は、「766,286円」という金額であり、その金額に対して、「このキリの悪さに努力を感じちゃいます」というキーワードを繋げることによって、企業イメージを向上させようという戦略なのです。(勝手な解釈ですが。)
誰が見ても変わらない事実、つまり、”絶対的価値”を、たった一言のキーワードを付け加えるだけで、人によってはとても魅力的な価値、つまり、”相対的価値”へと変えることに成功しているということです。
あなたのビジネスの絶対的価値を、あなたにとってプラスになる相対的価値に変えるには、どんなキーワードが有効ですか?
1つの事実を、プラスのイメージに変えるキーワード。
ぜひ、考えてみてください。
今回は以上です。