お客さまの定義 をしていますか?
まず最初に、これだけは言わせてください。
それは、「お客さまは神様ではない」ってことです。
では、ナニモノなんでしょう??
それを考えるヒントとして、次の質問について考えてみてください。
あなたが所属する組織や、(あなたがビジネスをしているなら)あなた自身にとって、”お客さま”とはどんな存在ですか?
・商品やサービスを買う人
・お金を払う人
・売上に貢献する人
・(お店に)やってくる人
・クレームを言ってくる人
・問い合わせをしてきた人
というように、いろいろなイメージが出てくると思います。(たぶん、今の時代に、お客さまを「神様」と答える人はいないと思いますが・・・。)
ここで重要になるのは、「お客さまとは、こういうモノだ!」というような正解を求めることではなく、その”お客さま像”を組織でしっかりと共有できているか?ということです。
例えば、経営者が「ウチの商品を利用している人、利用する見込みのある人が、お客さま」という考えであるにも関わらず、営業部長は「利益に貢献する人はお客さまだけど、その金額が低い人はお客ではない」という考えである場合。
その下に属する人たちは、社長と営業部長とで、言っていることが違うので混乱しつつも、直属の上司である営業部長の意見を重視し行動することになると思います。
その結果どうなるのかというと、経営理念とはかけ離れた企業活動を行うことになり、社会的な信用を失うリスクもあります。
さらに、その組織で働く人が「この会社は言っていることと、やっていることが違う!」と感じ、組織に不満を持つようになってしまいます。
”お客さま像のズレ”なんて、ちょっとしたコトのように思えるかもしれませんが、後々の影響は結構大きいので、侮ることはできません。
お客さまは神様 ではない。王様 だ!
お客さまはナニモノなのか?を考えるうえで、面白い記事がありましたので、紹介します。
「お客様は神様なんて思っていません。お客様は王様です」。つまり、神様はやさしい慈悲の方だが、王様は自分に傅く人にだけ恩恵を与える存在で、自分の意にそぐわなければ攻撃の対象となり排除される。お客様はお金を払っていることで、この「王様の権利」を獲得したかのように振る舞う (以下省略)
「9割が王様だけど、1割は神様もいます。その神様は『大変なお仕事ねえ、頑張って』と言ってくださるので、その言葉で頑張れるんです」■引用元:MAG2NEWS「「おもてなし」精神は何処へ…金を払えば「王様」に豹変する日本人客」
※傅く(かしずく)・・・ 1 人に仕えて大事に世話をする
この記事は、 国内外の「精神保健」の現場を見てきた記者の引地達也さんのメルマガ記事から、デパ地下での精神疾患者の体験学習を通して、「おもてなし」の精神がむしろモンスター客を生み出していると感じたということを解説しています。
そして引用した部分の言葉は、 食品販売専門のマネキンとして数十年のキャリアがある、女性の印象的な言葉です。
この記事の場合、デパ地下で働く女性によるお客さまの定義は、「お客さまは王様」です。
しかも、器の小さな王様です。王は王でも、愚王ってやつですね。
ですから、器の小さな王様の機嫌を損ねないように、常に注意を払って接客することが求められるというわけです。
そのことをスタッフさん全員が共有していればいいですが、もし、「お客さまは友達」と思っていいるスタッフさんが一人でもいる場合、王様に「失礼な奴だ!」と思われるだけではなく、「しつけ(スタッフ教育)もできないダメな店だ!」となり、ちょっとしたコトが大事になってしまうリスクが生じます。
ですが、全員で「お客さまは王様」という認識を共有できている場合、へんなミスで機嫌を損ねることは防げますし、何かあったときにも、機嫌を戻すための対応も迅速に行うこともできます。
ですから、お客さま像を共有し、あらかじめ認識のズレを正しておくということは、地味ですが重要なことだったりもするのです。
余談ですが、この記事(「おもてなし」精神は何処へ…金を払えば「王様」に豹変する日本人客)は、「おもてなし」の精神は、販売者だけにあるものではなく、消費者側も販売者に対する「おもてなし(感謝の気持ち)」を忘れないようにしましょうね、というようなメッセージが込められていると思います。
ですから、
「9割が王様っていうのは、”おもてなし”売りにしている日本人としては、驚きですね。私も”王様”にならないように気を付けようと思います。」
という感想もあったのですが、「お客さまは神様ではなく、王様」という、皮肉たっぷりで、且つ、容易に想像できる言葉のチョイスと表現が面白かったので、この部分をピックアップしました。
お客さまを 選別 して、集める 方法
客観的に言えば、お客さまが”王様”だろうと、”神様”だろうと、”それ以外の何か”であろうと、「お金を払って商品やサービスを購入する人」であることには変わりありません。
しかし、主観でどうとらえるのかによって、お客さま像というのは全く異なってきます。
ですから、組織として、お客さまをどのように定義するのか?というのは、主観でとらえることが大事で、それによって組織の”らしさ”を創るうえでも重要な要素になったりもします。
「そんなコトは、どうでもいいこと」と思うかもしれませんが、実は、結構重要な役割もあります。
というのも、主観でお客さまを定義できれば、それに該当しない方が”お客さま”になることを防げるからです。
言い換えるなら、定義している「お客さま像」以外の人が「お客さま」にならないように、あらかじめ制限することができるようになるということです。
どうやるのかというと、それは、
「次のような方は、買わないでください!」
とか、
「次のことに該当する方のためのモノです。」
というように、あらかじめ制限してしまうのです。
利用規約の簡易版のようなものですね。
ただし、白状するとこれは、ある程度の抑止効果はありますが、完璧に防げるものではありません。
一応こちらとしての言い分は立てることができるという程度です。(じつはこれ、コピーライティングのテクニックだったりします。)
ですから、この方法でどうにか制限することにこだわらずに、日頃から、ネットやオフラインの媒体などを通じて組織のらしさを伝え、お客さま像を定着させていく取組みが大事になってくるのです。
お客さまの定義 を 主観 で 捉えて 、 共有 しよう
冒頭で”お客さま”とはどんな存在ですか?と聞きましたが、ここで、もう一度考えてみてください。
例えば私は、
・お金を払ってくれる人
・商品やサービスを必要としている人
・既に持っているリソースで役に立つことができる人
・商品やサービスで悦んでくれる人
・一緒に愉しむことができる人
・共通の価値観を持っている人
・ミッションを実現させるための大事なパートナー
というようなことをイメージしました。
これに正解というものはありませんので、もっと具体的なものにしても構いませんし、全く逆のイメージであっても、それはそれでいいと思います。
大事なのは、この主観的なイメージによって、その組織での「お客さま」が、どんな人なのか?ということを、なんとなくでも具体化することです。
そうすることで、少なくともお客さまに該当しない人への対応やアプローチで、時間を割かれることはなくなりますし、お客さまとの対応も、より効果的なモノに進化させることもできます。
反対に、組織の中で抱いているお客さま像にブレがあると、その分、余計な手間やストレスが発生してしまい、デメリットの方が多くなります。
組織の中で、お客さま像を共有するというのは、暗黙の了解的なモノになっているせいか、殆どやっていません。
やっていると思っていても、非常にざっくりとしたものです。
例えば、○○の資格を持っている人は全員見込み客みないな・・・。
確かにそうなのかもしれませんが、より効率的な活動を行うために、ある程度の絞り込みをすることは必須です。
これを機会にぜひ、一度、関係者同士で、お客さま像のすり合わせや、共有をしてみてください。
面白いと思った方は、ぜひ、実践してみてください。