年間3万円使ってくれるお客さんAと、年間30万円使ってくれるお客さんB。
この2人のお客さんを平等に接客してもいいのでしょうか?
これは、どちらのお客さんの立場に立って考えるかによって、その意見は異なってくると思います。
Aの立場になって考えると、
「使う金額が少ないからって、ぞんざいに扱われるなんてありえない。お客さんとして平等に接客するべきだ!」
と考えるでしょうし、
Bの立場になって考えると、
「こんなにお金使っているのに、使う金額の少ないお客さんと同等の扱いなんだ・・・。モヤモヤするな・・・。」
と考えると思います。
どちらの意見も間違っていませんが、どちらかの意見しか聞き入れることはできません。
さて、あなたはどちらの意見を参考に、最初の質問に答えますか?
顧客の差別化 は” えこひいき ”をすべし!
私は一つの回答として、お客さんを差別化することをオススメしています。
理由は、そうしなければ売上が減るからです。
Aのお客さんを尊重して、”顧客皆平等制”を採用すると、Bのお客さんは不満が生じるので、使う金額を減らしたり、離脱してしまう可能性があります。
反対にBのお客さんを尊重して、あからさまな”顧客不平等制”を採用すると、Aのお客さんは不満を感じて離脱してしまう可能性があります。
じつは、どちらの制度を採用しても、どちらかのお客さんが離脱し、売上が減る可能性があるのです。ですから、そうならないように、バレないように上手に差別化することが大事なのです。
上手に差別化するためのポイント
”お客さんを差別化する”なんてというと、ちょっとイメージを悪く捉えるかもしれませんが、実際はクリーンですのでご安心ください。
そもそも”差別化”といっても、優良客にはやさしくし、そうでない客はぞんざいに扱ってもいい・・・なんてことはありません。
では、どうすればいいのかというと、普通のお客さんにはきちんと接客し、特別扱いすべきお客さんには、他のお客さんにはわからないように、優遇接客をするというだけです。
ポイントは、”他のお客さん(一般客)にはわからないようにすること”です。
理由は単純で、優遇接客をしているところを他のお客さんが見ると、不平等感が生まれるからです。
それを防ぐために、他のお客さんには、わからないようにするのです。
そうすることで、一般のお客さんは、きちんと平等な接客してもらえていると感じ、満足してくれますし、特別なお客さんは、優遇接客してもらえる優越感も加わり、さらに満足してくれます。結果として、両者のお客さんに満足してもらえます。
お客さんを差別化する前のひと仕事
お客さんを差別化する際に困るのは、差別化する対象を、どのようにして決めるのか?ということです。
一番やってはいけないのは、個人的な主観で決めることです。
「あのお客さんは知っているひとだから優遇してあげよう・・・」
なんてやっていたら、差別化の条件が不明瞭なので、本来優遇接客しなければならないお客さんを優遇しなかったり、そうでないお客さんを優遇してしまったり・・・なんてことが起きてしまいます。
それを防ぐためにも、きちんと差別する条件を設けることが大事です。
では、その条件とはどんなものなのか?というと、例えば、利用頻度や客単価によって条件を設けるのが一般的です。
もちろん、あなたの業種や状況によって違う条件を設けても構いません。
今回はわかりやすい客単価で差別化する方法を紹介します。
客単価で差別化する方法
ここでいう客単価というのは、一定期間にお客さん一人が使ってくれた金額のことです。
例えば冒頭の質問がそうですね。年間でいくら使ってくれたのか?を元に、お客さんを差別化していく方法です。
ポイントは、期間と金額の境界線をきっちりと分けることです。
利用頻度の多い業種ならば、1ヶ月の利用金額で差別化することができますし、利用頻度の少ない業種ならば、1年間での利用金額の合計で差別化するということもできます。
高度な顧客管理システムを導入しているのであれば、直近の365日で集計することができるもの(例えば、今日が2016年11月27日なので、2015年11月27日〜2016年11月26日の合計利用金額)もありますが、普通に、月末月初で区切ったり、年末年始で区切るでも問題ありません。
顧客の分類についても、例えば、上位客、中位客、一般客という感じに分けて、それぞれに分類する条件として、上位客(100万円以上/年)、中位客(30万円以上/年)、一般客(〜30万円未満/年)というように、明確に区切りをつけます。
これは一つの例ですので、期間や金額はあなたのビジネスに合わせて柔軟に変更して問題ありません。ただ、うやむやにだけはしないでください。境界線を設けて、くっきりと分けましょう。
顧客の差別化を行なっている事例として、わかりやすいのはホットペッパーです。
一般客としてアクセスするだけではわかりにくいですが、実は、明確に顧客を差別化しています。(それについては、また別途紹介したいと思います。)
顧客の差別化を行うべき本当の意味
さて、すでにお気づきかもしれませんが、これらの差別化法を行うには、顧客管理として、顧客名、利用金額、利用日時などをきちんと管理している必要があります。
つまり、お店の数字をきちんと管理しなければ、実践することができない戦略なのです。
そしてもう一つ白状すると、顧客を差別化することで売上が増える理由は、ここにあります。
それまで、適当に、なんとなく把握していた、お客さんやお客さんの数、利用金額、売上金額などを、明確に把握することで、お店のボトルネックとなっていることや、隠れていた強み、売りになりそうな情報などに気がつくことができるようになります。
こういった基礎情報なしで、強みやウリを探そうとしているケースが非常に多いですが、成果につながるものを作れるケースはまれです。
お客さんを差別化してく過程で、
「このランクのお客さんは、こういう人が多いから、コンセプトを変えてやってみよう」
とか、
「このランクのお客さんは、価格よりも品質重視タイプだから、とびっきり贅沢な高価格商品を提案してみよう」
というように、販売促進の新たな切り口を見つけることができます。
ですから、「”えこひいき”しましょう」とはいいましたが、単純にえこひいきすればいいというものではなく、お客さんに合った、特別な商品やサービスを提供することが、売上を最大化させる秘訣なのです。
もちろん、優遇するだけでも喜ばれますが、残念ながら、それだけでは売上を増やすことは難しいというのが現状です。
ですから、最初は色々と手間に感じるかもしれませんが、顧客管理をしっかりと行うことから始めることを、強くお勧めします。