前回、優秀な社員を確保するための採用活動が、会社の評価を下げる活動になっているかもしれないということをお伝えしましたが、今回はその続きで、転職サイトを利用する際の注意点をご紹介します。
転職サイトというと、enジャパンやリクナビネクスト、DODAなどいろいろありますが、おそらく共通している特徴といえば、転職希望者の経歴が事前にわかるという点です。
新卒採用の際には、学生時代に何をやっていたのか?とか、筆記試験の点数が、選考の基準になっていましたが、転職の場合は、学生時代の活動よりも前職までの経歴が基準に変わります。そのため、新卒採用よりも、即戦力になりそうな人財を確保しやすくなるという企業側のメリットがあると同時に、転職希望者側にも、自分の経験を踏まえてそれを活かせる仕事に就きやすいというメリットがあります。つまり、企業側と転職希望者者側の双方にメリットが生じやすくなるというのが転職の特徴です。
ですから、転職サイトでは、その双方のマッチングがスムーズに行くように、転職希望者には前職までの経歴を公開できるようになっています。さらに、企業側が経歴での選考をしやすいように、履歴書や職務経歴書の書き方も丁寧に教えてくれています。私が知っているケースでは、その職務経歴を元に、企業側から「あなたに興味があります」というようなオファーという機能もあったりして、企業と転職者の双方のマッチングがうまくいく、便利な仕組みもあります。
ですが、こういった便利な機能をつかうことで、気づかない間に企業の評価を下げてしまっている可能性があります。
評価を下げる転職サイトの使い方
なぜ、企業と転職者のマッチングがスムーズにできるためにある便利な機能が、企業の評価を下げることになるのか?それは、その便利な機能がある”意味”(意図)を無視して、従来通りの採用活動を行ってしまうからです。
どういうことかというと、先ほども紹介したように、転職サイトでは事前に履歴書や職務経歴書を公開することができます。これは、転職者側としては、「私はこういうスキルをもった人物です!」とPRすることができ、企業側としては「こういうスキルを持った人物なら、当社で活躍してくれるかもしれない!」ということを知ることができるということです。
その情報を元に、オファー機能を使い「当社に応募しませんか?」と転職希望者に連絡することで、転職者が希望すれば、面接などの採用ステップにスムーズに進めるというものです。ですが、このオファー機能を活用し、履歴書や職務経歴をチェックせずに、例えば、営業経験のある方全員に「当社に応募しませんか?」をオファーを出すという行為を行っている企業が意外と多いようです。
その機能を使ってオファーを出すことは、転職希望者に自社の存在をPRすることになるので構いませんが、問題だと感じているのは、その後の採用ステップが、通常の採用ステップと変わらないということです。
通常の採用ステップというのは、会社説明会→書類選考→(筆記試験)→面接というステップなのが一般的です。(転職の場合、筆記試験を行わないケースも多いのでカッコにしました。)しかし、転職サイトを利用することで、このステップの”書類選考”は事前に行うことができます。というのも、転職希望者がオファーに応じる際に、詳細な履歴書や職務経歴書も自動で送付するようになっているからです。(リクナビの場合)
採用担当者が事前に書類をチェックし、もし、不採用であれば、転職者は会社説明会に赴く必要がありませんし、企業側にとっても、ムダに会社説明会を行う必要がなくなりますので、双方にとって都合がいいはずです。
しかし、それを行わずに通常の採用ステップと全く同じことを行うということは、詳細な履歴書や職務経歴書を提出している転職希望者に対し「君がどんな人かはわからないけど、とりあえず応募してね。」といっているようなものです。結構失礼ですよね?しかも、企業によっては会社説明会→筆記試験→書類選考というステップになっている所ですら、そういう状況のようです。(前途したように、双方にとってムダでしかありません・・・。)
さらに、採用する企業が転職サイトの便利な機能を無視していることで、転職希望者の手間を全く考えていない企業であり、そこから、人材を大切にしない企業という悪いイメージもついてしまう可能性もあります。
「履歴書を持ってきてください」はブラック企業認定される!?
また、会社説明会に来る際には「履歴書と職務経歴書を持ってきてください」と依頼している企業も非常に多いです。一見、ごく普通のことのように思いますが、転職サイトを利用している場合、オファーに応じる際に、その書類はデータで送付されているので、わざわざ転職希望者が持って行く必要はないハズです。
それを持ってこいということは、事前に送付したそのデータを見ていないか、そのデータを印刷することすらしないで、採用活動を行おうとしているということです。それって、転職希望者に対して失礼な行為だと私は思います。仮に、どうしても写真付きの履歴書が欲しいという場合でも、内定を出すときに写真付きの履歴書を用意してもらうか、写真だけ提出してもらえれば解決できることです。不採用の場合は、返却するか、処分するだけなので、わざわざ用意させても資源と手間のムダになるだけです。
前回もお伝えしましたが、採用活動というのは、「ウチの会社で活躍してくれそうな人材」と「自分が活躍できそうな会社」のマッチングです。ですから、私が転職希望者だったら、そんな礼儀を欠いた会社だとわかった時点で応募を辞退してしまいます。(その企業にとっても私のようにカミツク人材は不要でしょうが・・・)
転職サイトを利用することで、効率的に人材を募集することができますが、その機能の意図を理解せずに使用してしまうと、紹介したように、礼儀を欠いた会社と思われてしまう可能性もあるということです。人材を使い捨てするような企業にとっては都合のよい機能かもしれませんが、あなたの会社が人材を大切にする企業でしたら、ちょっとしたことで、ブラック企業と認定されないように注意が必要です。
紹介したことを踏まえて、是非、今後の採用活動に取り入れてみてはいかがでしょうか?
今回は以上です。
面白いと思ったら、是非、取り組んでみてください。
前回記事はコチラ ⇒ 採用活動が、会社の評価を下げる活動になっていませんか?
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