47NEWSによると、仕事の進め方や時間の配分を個人の裁量に任せる「裁量労働制」の職場で、決まった時刻に出勤や退勤をするよう求められる人が4割に上り、遅刻したとして賃金カットされるケースも一部にあるという調査結果がでたようです。
じつは私も以前勤めていた職場でも同様でした。
裁量労働制を導入しているといえば聞こえはいいですが、そういった会社で仕事をした経験者の意見としては、残業代を支払わなくてもよい都合のよい制度でしかないケースが多いように思います。
制度としては、残業したらその分違う日に遅く出勤したり、早く帰ったりして調整することが可能になっているのですが、実際にそれをやると上司が黙っていないので、実質残業分はただ働きでした。(今では労基から指摘されたか何かして、残業代が出るようになっているようです。)
こういった場合の企業の問題点としては、社員の意欲が低下してしまうことが挙げられます。指示されて残業しているのに残業代が出ないのですから、当然といえば当然ですよね・・・。
企業としては、裁量労働制を活用してもらいたいのでしょうが、上司にあたる人が、その制度を殺してしまっているというケースもあるので、やはり経営者はもっと現場を知る必要があると思います。
社員の意欲が低下すると、効率的に仕事をしようとは思わなくなります。また、ただでさえ残業代がでないので、余計な仕事は増やしたくないと考えるようになり、新しい事へ挑戦する意欲もそがれてしまいます。
企業が人件費をカットできる代わりに、企業のために働く社員の意欲もカットしてしまっているのが、裁量労働制を活用できてない場合の問題点ともいえると思います。
では、そのことに気づいた経営者が残業代を支払うようにすれば、社員の意欲が復活するかというと、実はそんな単純なものでもありません。一度失われた意欲は、何もしなければ改善することはありません。
なぜなら、残業代が出るようになったからといって、従来のダラダラとした仕事のやり方を改善しようとは考えないからです。(当事者としては、「残業代がでるようになってラッキー」程度にしか思っていませんからね。)
ではどうすればよいかというと、一つは経営者の声をしっかりと伝えること。もう一つは、仕事のやり方を見直すことです。
まずは、これまでの実態がよろしくなかったことをきちんと詫び、改善するので、改めて会社のために仕事をして欲しいということを経営者自らの声で伝えることです。
人の行動に影響を与える一つの要因として、「誰が言うか」というものが有ります。
後輩が言うのか?先輩が言うのか?上司が言うのか?経営者が言うのか?誰が言うのが一番効果的でしょうか?簡単ですよね。
そして、もう一つの仕事のやり方を見直すというのは、そんなに残業が多いのであれば、そもそもの仕事量にムリがある可能性があります。
仕事量にムリがある場合や仕事のやり方に問題がある場合は、そこも改善しなければ、社員に負担をかけることには何の変わりもありません。
よく誤解されてしまうことなのですが、「制度をかえれば会社が変わる」と思われがちです。
しかし、制度を変えても中身を変えなければ、何も変わらないというのが実態です。
そう考えると、いかに、現状を把握することがとても重要なことなのかがよくわかると思います。
よい制度を導入したからといって安心せずに、その制度を活かせる体制ができているかもしっかりとチェックすることを忘れないようにしましょう。
(参考:47NEWS「「裁量労働」でも4割が定時出勤 遅刻理由に賃金カットも」)